アアルトの家具デザイナーとしての地位を不動のものとしたアアルト・レッグ。それは一体どういったものなのかをご紹介したいと思います。アアルト・レッグとは「ベントニー」、日本では「挽き曲げ」という技術を使った椅子の脚のことを言います。無垢の木材の上端(曲げたい部分)から木目にそって鋸で鋸目を等間隔に入れ、接着剤をつけた薄い板を無垢材の木目と直行する方向に差し込んで、必要な角度(ここでは90度)に曲げて治具で固定し、乾燥させる。といった技術です。
この技術は北欧ではもちろん、ヨーロッパ各国において、アアルトの名前でパテントを取得しました。しかし、ドイツでは古くからある公知の技術と判断されて、パテントをとることが出来なかったそうです。 これによって、背のないスツールNo.60や背の付いた小椅子No.65をはじめ、さまざまなバリエーションが生まれ、螺旋状にスタッキングもできるとアアルトも喜んだそうです。しかし、技術者のコルホーネンは、曲げた脚が前後に変形してしまうことによって、スタッキングをした際に椅子が取り出せなくなるというトラブルに悩まされました。それにより、椅子が本当に完成したのは、パテントを申請して1年後の1933年になりました。
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